金銭と保証書では趣が違うのか
先日、広島地裁にて保釈金200万に対し内50万円は全弁協の理事長名義の保証書をもって代えることを許可するという内容の保釈許可決定があった。
上記保釈許可決定が下されたこの案件は全弁協の保釈保証書発行事業の申込みを経た後に当協会に送られてきた一枚の申込書である。
このように今年の7月1日から全弁協で始動された保釈保証書発行事業により保釈が認められたとしても上記決定のように150万円は被告人側で現金を用意しなければならないようなケースも7月1日以降しばしば散見される。150万円もの大金をすぐに準備出来る人はどれくらいいるのだろうか・・・将又、150万円という大金を準備出来ない場合はどうなるのであろうか・・・。無論、泣き寝入りである。社会から長期間隔離される事により社会復帰も困難になるであろう、残された家族の生活も切迫するであろう。
全弁協のホームページにはこう記されてある「保証書による保釈を機能させ、資金の乏しい被告人にも平等に保釈の機会を与えるのがこの事業の狙いです。」との事であるが現状、保釈許可率は旧態依然どころか羽目に落ちる一方である。やはり裁判官は保証書によって被告人の保釈期間中の事故を本当に防止することができるかについてはかなり疑問を持つのではないかと察する。やはり根本的に金銭と保証書では趣が違うのであろうか。
当協会においても昨今、保釈保証書発行事業の影響もあり保証書での保釈を希望する申込みもちらほらと見受けられ、一方で日本保釈支援協会の保証書をもって保釈許可を認めるという決定も裁判所で下されている。又、文頭に記載した事案においては当初は保証書での申込みであったが当協会の立替システムの方が保釈されるまでに要する時間が圧倒的に敏速であるという理由から結果的に立替システムに途中で切り替え、審査結果としても保釈金の全額支援となり申込みされた3時間後に被告人は保釈された。
保証書か立替かの手段は然る事ながら刑事事件はやはりスピードが命であり保釈の手段よって勾留が長引き被告人及びその家族の生活が危ぶまれるのは考えものである。